family-doctor-shin’s blog

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医者になってからの勉強ってそんなに簡単じゃないんだよね…『高血圧の話』no.2『スクリーニングと診断について』

さて、前回『高血圧の歴史』的な部分の話で終わってしまいましたが、勉強を始めるときに『歴史から語りたがる』のは昭和生まれの古臭い考えなのはわかってますが、うちのクリニックの研修は歴史から入るワンパターンですw!すみません。

 

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昭和世代の勉強は歴史から!

…では続きです。赤字は追加説明です。

 

高血圧のスクリーニングの対象(誰に血圧測定を行うのかという話です

USPSTF(米国予防医学専門委員会:United States Preventive Services Task Forceというエビデンスや費用などを参考に予防医学の推奨を行っている機関で推奨対象、推奨開始年齢と終了年齢などが設けられている)だと18歳以上のすべてに血圧測定を行う(GradeA)とされ5)、40歳以上、SBP130〜139/DBP85〜89mmHg 、肥満の人は年に1回は血圧測定を継続して実施し、18〜39歳でそれ以外の人は3〜5年に1回継続して血圧測定を実施すべきとされています。

しかしながら、血圧測定は費用がかかるわけではありませんし、受診された患者さん全てにどんな理由で受診しても実施して良いのではないでしょうか。(完全に私見ですのでご注意を。日本とアメリカだとアクセスの違いもあると思います

 

高血圧の診断について

JSH2019:家庭血圧で≧SBP135and/orDBP85mmHg(診察室では140/90mmHg、降圧目標は異なる)

JNC7(8):診察室血圧≧140/90mmHg

NICE2011:家庭血圧もしくは24時間自由行動下血圧測定(ABPM;ambulatory blood pressure monitoring)

ESH/ESC2018:診察室血圧で診断するがABPMや家庭血圧でも可

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ガイドラインの比較

 

 

正しい血圧測定について

患者さんに正しい血圧測定について聞かれることがあると思います。

  • 5分間安静座位
  • カフを心臓の高さに保つ
  • 1-2分の間隔をおいて複数回測定し、安定した値を示した2回(測定値の誤差が5mmHg未満を目安)の平均値を血圧値とする
  • 少なくとも2回以上の異なる機会における診察室血圧で高血圧の診断を行う(JSH2019より)
  • 最低でも2回測定してその平均を記録(JNC7)
  • 両腕で測定し、高い方を記録(NICE2019)

よく患者さんが自宅では血圧は低いのにと言われますが、診察室血圧が160/90mmHgを超えるような場合はさすがに介入をすべきでしょう(ただし、JSH2019では家庭血圧の診断を優先するとしています)。低い値を知りたいわけではなく、どの程度まで高くなってしまうのか(NICE2019)という部分が大事で、納得されるまで複数回測定することはよくあるかと思います。複数回測定しても改善が乏しければ、白衣高血圧と考えても高血圧正常と比べて長期的には心血管イベントの相対リスク1.33(95%CI 1.10-1.62)、持続性高血圧への悪化リスクは2.85(95%CI 2.32-3.49)となりうるため6)、治療介入は必要です(白衣高血圧でもリスクが高いので治療をしましょうということです)。逆に仮面高血圧(診察室血圧が正常で、診察室外で高血圧の場合)は家庭血圧を基準に治療介入を行います。(確認方法は自宅の血圧測定器を持参してもらって診察室で測定した血圧と一致して高いor低いのであれば自宅血圧を信頼しても良いという判断になります

 

さて、いよいよ高血圧の診断がついた患者さんへの対応の話です…が、長くなったので今日はここまでで。

 

 

…という部分あたりまではやっぱり以下の動画をみた方が早いです。

youtu.be

 

参考文献

4) Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration. "Effects of ACE inhibitors, calcium antagonists, and other blood-pressure-lowering drugs: results of prospectively designed overviews of randomised trials." The Lancet 356.9246 (2000): 1955-1964.

5)https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/document/RecommendationStatementFinal/high-blood-pressure-in-adults-screening

6) Fujiwara, Takeshi, et al. "Are the cardiovascular outcomes of participants with white-coat hypertension poor compared to those of participants with normotension? A systemic review and meta-analysis." Hypertension Research 42.6 (2019): 825-833.