family-doctor-shin’s blog

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腎臓が悪いってどういうこと?

あまり重要だと思われていないのか、健診で腎機能が低下していても長年放置されていることが多い印象です。腎臓はとても重要な臓器です。

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腎臓は大事!

 

 

腎臓は

  1. 尿の量を調整して、体の水分量を一定に保つ
  2. 老廃物を尿として体の外に出す
  3. ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど電解質の濃度や量を調整する
  4. 血液をアルカリ性に保つ
  5. ビタミンDは腎臓で活性化されて、活性型ビタミンDとなります。このビタミンDはカルシウム、リンのバランスを整え、正常な骨を維持するのに必要なホルモンです。
  6. エリスロポエチンという赤血球を作ることを指示するホルモンを分泌する
  7. 血圧を調整するレニンというホルモンを分泌する

という機能を持っています。そのため、腎臓の機能が低下するとその機能に対応して

  1. 尿の調整ができないので浮腫んでしまう
  2. 老廃物が体に溜まって食欲が下がったり、吐き気がしたり、ひどくなると意識が悪くなったり痙攣することもあります。
  3. 電解質が体にたまると不整脈の原因になったり、意識障害の原因になったりします。
  4. 血液を弱アルカリ性に保てないと呼吸で二酸化炭素を吐き出すことで調整をするため、呼吸が早くなります。
  5. ビタミンDが活性化されないと骨粗しょう症の原因となります。
  6. 腎臓が悪くなると赤血球を作るように指示するホルモン不足により、貧血を起こします。
  7. 血圧を調整するレニンを分泌できないので血圧が変動しやすい

などの症状が出現します。

 

腎臓の機能が急激に悪くなる場合を急性腎障害、ゆっくりと経過して悪くなる場合を慢性腎障害と言いますが、かかりつけ医として重要なのは慢性腎障害なので、こちらに絞ってお話しします。

 

慢性腎障害は初期は無症状で、進行するとむくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が出現します。腎臓の機能はある程度低下すると元に戻ることはありません

 

そのため、早い段階で発見してきちんと治療を受けてもらうことが重要です。…が、大半の人は自分は平気とかなり腎臓の機能が悪くなるまでかかりつけ医を受診せず、そもそもかかりつけ医が存在しない方が多いです。肝臓は回復することが多いですが、腎臓は回復しない臓器のため、長生きをするためにはとても大事な臓器です。心臓が悪い人が腎臓も悪くなると医学的に管理が難しくなっていきます。

 

 

医者の目線から腎臓の機能が悪い

というのはどのように判断されているのでしょうか?いくつかを組み合わせて判断するので参考程度に考えてもらいたいのですが、健診の結果を見ていただいて自分の腎臓が問題ないのかありそうなのかの目安にしてみてください。

  

腎機能評価の方法

腎臓の機能は糸球体濾過量(GFR)と呼ばれる指標が重要で、世界的標準はイヌリンという物質がどの程度外に出されるか(排出されるか)という値ですが、とても手間がかかる検査なので一般的には行いません。

健診で行われるのはクレアチニンという値です。

筋肉へエネルギーを供給したあとの代謝産物(老廃物)が尿から体の外に出されますが、クレアチニンは常に一定量生産されて腎臓から尿として排出されるため、腎臓の機能が悪くなると腎臓から排出されずに体に残ってしまうことからクレアチニンが高いと腎臓の機能が悪いのではないかと考えます。

 

血清のクレアチニンの値と年齢、性別からGFRを推定して出した計算した値がeGFRと言い、日本人の場合は体表面積の1.73㎡で補正しています。最近の健診結果にはeGFRの値がついていることが多いのではないでしょうか?

 

この値が60以上なら概ね正常と考えて良いと思います。高ければ高いほど腎臓の機能が良く、低ければ低いほど腎臓の機能が悪くなっていることを表しています。

 

この計算の元になっているクレアチニンは筋肉の量が多ければ多いほど高くなるため、痩せた患者さんではeGFRが高めに出てしまう(実際の腎臓の機能よりも良く見えてしまう)のに対して筋肉質の若い方は低め(実際の腎臓の機能よりも悪く見えてしまう)に出てしまいます。

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筋トレしていると腎臓の機能が悪い?!


 

 

その点から、筋トレをよくしている若い方が健診異常で受診される場合は本当は腎臓の機能が悪くない場合が多いのに対し、なかなか受診されない初老期の方はある程度腎臓の機能が下がっていることもあります。

 

また、体表面積が1.73㎡は標準的な体型の方を基準としているため、体格が小さい方は高めに(実際よりも良い値に)なってしまうのに対して、体格が大きい方は低めに(実際よりも悪い値に)なってしまいます。

 

まとめると筋トレをしている大きい体の人は腎臓の機能が低めに出てしまうことがあり、体の小さい筋肉の量が少ない高齢者の方は腎臓の機能が高めに出てしまうことがあります。

 

この他、腎臓の機能と関連するのは尿にでてしまうタンパクの量やシスタチンCという物質を調べて確認したり、クレアチニンリアランスという別の計算式を使用したり、1/血清クレアチニン値の値で予後を予測するなどしていたり、エコーで萎縮の程度や血流評価をしたりしているので、 よくわからない場合には近所にかかりつけ医を見つけて相談することをお勧めします。

 

 

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