family-doctor-shin’s blog

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クラミジアって特別?なんとなく気になる性病について

クラミジアって性行為感染症の中では有名で外来でもよく遭遇します。ちょっと特殊な存在なのと、外来でも意外とよく遭遇するので実習中にも取り上げました。なんとなく性病って怖いなぁと思っている人にも読んでもらえると嬉しいです。

 

 

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性病がなんとなく怖い!

かつてSTDと呼ばれていた性病ですが、感染症だとはっきりさせるために現在ではSTI、性行為感染症と呼ばれることが多いです。

性行為感染症としては以下のような病気があります。

淋菌潜伏期間2〜7日程度、排尿痛や膿が出る。女性は帯下が多くなるが痛みなどは感じず、感染に気が付かないことも多い

クラミジア:潜伏期間は1〜4週間程度(1〜2週間程度との記載も多い)と淋菌よりも長め。男性はパンツが汚れたりして気がつくことが多く、あるとすると痛みではなく痒み。女性は気がつかないこともある。

梅毒:潜伏期間は3週間から3ヶ月とさらに長め。痛みを伴わない性器のしこりからスタート。病期分類と検査所見の解釈が難しくて、総合内科試験には頻出。

性器ヘルペス:潜伏期間は3日〜1週間程度。HSV-2が多かったが、オーラルセックスの普及でHSV-1感染もある。HSV-2の方が症状がきつい。

HPV:潜伏期間は数ヶ月〜数年程度。性行為感染症から感染することが多い。予防できるガンの原因として有名。サーバリックス®(16・18型のハイリスクのみ)、ガーダシル®(線形コンジローマの原因の6・11型と16・18型の4価)、シルガード9(6・11型とハイリスクの16・18・31・33・45・52・58の9種類を含むもので日本で2020.7.21に認可が下りたばかり)

トリコモナス:潜伏期間1〜3週間程度。STI以外でも濡れたタオルやトイレの便座でも感染する。外陰部の掻痒感や灼熱感、帯下増加。男性は軽い排尿時痛

HBV:潜伏期間は1〜6ヶ月程度。初期症状は倦怠感や頭痛、嘔気など。

AIDS:潜伏期間は3ヶ月〜数年程度。

HTLV-1や軟性下疳などもあるが外来診療ではあまり重要ではないので省略。 

 

感染症の治療に関して大事なことは細菌が原因だと抗生剤が使用できるので、原因が細菌なのかどうかを考えることが重要です。

細菌は自分で増殖できるのが原則なのに、クラミジアって偏性細胞内寄生細菌と言ってエネルギーの大部分を宿主細胞に依存して動物の細胞内でしか増殖できない細菌なんです!

簡単にいうとウイルスみたいに自分では増殖できないが、感染した相手(宿主と言います)の機能を利用して増殖する特殊なものなんです!!

 

通常の細菌と異なるということの意味

免疫が成立しにくい⇨免疫反応が起こりにくい=ワクチン作成が困難

免疫反応が起こりにくい⇨炎症が軽度なので自覚症状がないことも多い

という部分です。女性だとなんの症状もないことも多く、男性だと尿道から膿が出て下着が汚れて気がつくということが多いです。

 

クラミジアに感染している人の50%が淋菌に感染し、淋菌に感染している人の20〜30%がクラミジアに感染していています。共感染と呼ばれます。

また、クラミジアに感染している人の35%がマイコプラズマジェニタリウムの感染があると言われます。

 

検査としてクラミジアの感染を疑う時に淋菌の検査を同時に行いますが、マイコプラズマジェニタリウムの検査はあまり行わないのはクラミジアの治療に使う抗生剤でマイコプラズマジェニタリウムも治療できてしまうのでわざわざ検査までしないことが多いです。薬剤耐性菌と言って抗生剤に耐性を持つ菌が出現する場合に検査を追加することがあります。

 

クラミジアを含むSTIジスロマックというマクロライド系抗生剤でカバーされてしまいます(細かく言えば梅毒とかもろもろ分けないといけないですよー。泌尿器科の先生が魔法の薬と言ってジスロマックを紹介してました)が、淋菌感染を合併する場合は第三セフェム系の抗生剤の併用などが必要となります。

 

令和2年4月から今まで女性のクラミジアと淋菌感染は内診台に乗ってもらって子宮口から粘液採取して行うPCR検査のみが保険適用だったのが、女性も尿検査で実施可能となりました(男性は尿検査で可能です)。

 

患者さんからお話を聞く場合にもっとも重要なのは性交渉を行ってからどのくらいの期間が立っているのか(潜伏期間)が重要です。

 

性行為感染症で悩む患者さんも家庭医は診ています

男性であれば下着が汚れてしまう、女性であればおりものの量が多い、匂いがする、色がおかしいと思ったらご相談を。