インフルエンザワクチン戦争!
今日はクリニックの裏事情のお話しです。
インフルエンザワクチンの値段って結構違いませんか?
どうせなら安いところで打とうと考える人が多い中、なかなか値段が下がらないのは何故なのでしょうか?
インフルエンザワクチンって前年度に納入した分しか卸業者さんが販売してくれないのです。
何故かというと業者さんが言うには「過去に余ったワクチンの返品が多くてあまり過ぎてしまうので、メーカーが出荷制限しているんです」とのこと。
新規で開業した先生の場合は特別ご祝儀と行って100人分くらいのワクチンを購入できます。もちろんタダではないですし、特に安いわけでもありません。
そうすると毎年ワクチンは同じクリニックだと同じ数しか入荷できない状態が続くので患者さんが増えたら困りますよね?また、特に安売りをしなくても需要に対して供給の方が少ないので売れ残る可能性は少ないので高めで売っても欲しい人は多いですよね?
今年は特に政府が『ワクチンの出荷数を多くした!』と大々的に発表しているのにかかわらず、実際のワクチンの入荷数はもちろん昨年と同数まで。ワクチンの値上げをするクリニックが多いのはコロナの影響で昨年よりもワクチン接種を希望する患者さんが多くなって多少高くしても売れ残らないからです。
普段受診している人以外のワクチン接種はお断りしますという対応が多いのは、在庫が毎年決まっているので普段通院している患者さん以外に回す余裕がないというクリニックの事情があるからです。
そして、この時期になるとワクチン戦争が勃発します。
どこのクリニックも前述の通りかかりつけの患者さんを優先することが多いのですが、3年ほど前に受診した人でも「かかりつけです」と言い切ったり、電話でワクチンの在庫はないのか、いつ入荷するのか、確保してもらえるのかなどなど電話対応に追われて外来の受付やお会計が止まってしまうことも多く、特に小児のお子さんの場合2回接種しなければいけないのでお母さんは必死です。予約制にしているクリニックでも、在庫がないのかの電話確認をする患者さんが多く、小児の患者さんだと接種までに泣き叫ぶことも多くて年齢制限を設けているところもあります。開業医の先生たちの間ではこのワクチンに関する問い合わせが殺到するのでワクチン戦争が始まったと言ったりもします。
インフルエンザワクチンは50〜60%の有効率という報告があります(有効率の考え方については厚生労働省のインフルエンザQ&AのQ21にあります)
実は私自身は今まで1回もインフルエンザにかかったことはありませんが、個人的にも接種した方が良いと思いますし、医者になってからは毎年接種しています。
医者になる前はかかったことがないし、貧乏学生だったのでワクチン代がもったいないなぁと思って接種をしていませんでしが、その後インフルエンザ脳症の患者さんをみたり、1918-1920のスペイン風邪(インフルエンザA型)で少なくても4000万人以上が死亡して、ワクチン接種によりやっと押さえ込むことができたという過去を学んでからはこんな画期的な医学の発明品を使わない手はないと思って毎年接種をしています。
なお、クリニックのワクチンの在庫は10月から11月は少ないのですが、実は12月の中旬以降は業者さんには返品されたワクチンや売れ残ったワクチンが多くなりますので、今打てなくても12月一杯までで接種する気でクリニックを探すとストレスが減ります。ワクチンは接種後2〜4週間後から効果があり、3〜5ヶ月くらい効果が続くと言われていて、インフルエンザの流行はだいたい12月と2月頃に多く、2回目のピークには十分間に合いますので遅すぎるわけでもありません。
今年は特に熱があると風邪なのかインフルエンザなのか新型コロナウイルス なのかの区別がつきにくいので通常の外来で診察することができず、発熱外来をやっている医療機関を受診することになるかと思いますので、諦めずに在庫があるクリニックを探して受診しなければいけなくなる可能性を少しでも低くするためにも、インフルエンザワクチンを接種することを強くお勧めします!!
なるほどーと思ったら、読者になってください!!
1回クリックをお願いします。