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高血圧の目標値について

今回は高血圧についてお話しいたします。

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高血圧
高血圧はそれ自体では通常症状がありませんが、合併症として心筋梗塞脳卒中、腎臓の病気の原因となります。他にも認知症や眼底の出血のリスクになることも知られています。
 
高血圧の治療についての歴史(大きい流れ)
1960年代は血圧を下げる必要がないと言われていて、お薬も1種類しかありませんでした。当時は上の血圧(収縮期血圧)が200mmHgを超えていても問題ないと言われることもあったみたいです。
 
1984年からフラミンガム研究という5,209人対象の研究で血圧が120/80mmHgを越えると心疾患などが多くなることがわかり、これが至適血圧(正常血圧)だとわかりました。
しかしながらお薬を使うと副作用のリスクもあるため、薬を使ってまでも血圧を下げる必要があるかは別問題です。
 
1991年のSHEP試験という研究で収縮期血圧上の血圧)が160以上の場合に降圧剤を使って血圧を下げると脳卒中や心筋梗塞を抑制できることがわかりました。ただし80歳以上の方が参加していなかったので高齢者は除くとされました。
 
2008年HYVET試験で80歳以上のみを対象として同様の試験を行ったところ同じ効果があることが確認され、上の血圧は150程度が望ましいことがわかりました。
 
一方、下の血圧(拡張期血圧)は下げすぎると死亡率が上昇するのではないかという仮説がありましたが、ACCORD-BPという研究で糖尿病患者さんのみを対象としていましたが低い値があっても問題がないことが確認され、下の血圧は高い場合をのぞいて問題にしなくて良いと言われています。
 
2015年にSPRINT試験という大規模な研究で上の血圧が120と140のどちらの血圧がより望ましいかという研究が行われ、途中で明らかに120にした方が全死亡率が低かったため、中止勧告を受けて終了となりました。80歳以上の高齢者に限って確認しても120-130程度の血圧が望ましいことがわかりました。ただし、ふらつき症状がある場合には下げすぎないようにすることが重要とも言われています。高血圧の期間が長いほど死亡率が上がることもわかっています。
 
高血圧に関してはこのような歴史的な経過があるため、150でも良いと言われたことがあったかもしれませんが、現在では上の血圧は120程度、下の血圧は80より低ければ低い方が望ましいと考えられています(※厳密には日本のガイドラインでは疾患別に目標値が異なり140/90または130/80mmHgが目標値になっています。アメリカのガイドラインACC/AHAでは一律に130/80mmHg未満が目標とされています)。
 

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もっと詳しく高血圧の目標について知りたい方は下の動画をご覧ください。