やっぱり起こる…研修中の奇跡!
1月から優秀な専攻医が研修に来てくれていて、毎日経験した症例とその応用についてのレクチャーを行って振り返りを行うという流れになっています。
できる先生なので、レクチャー前に自分も一度内容を確認したりして(ある意味カンニングw)、万全を期して話をしてます。
なぜか研修中の奇跡って起こるんですよね!
前日に手のひら全体が痺れると言われると首からくる痺れよりはもっと手根管症候群やパソコンのマウスの使いすぎの様なよくある疾患を考えよう!とまとめをしました。
実際の振り返りはこんな感じ(医学的な内容なので興味がある人用です)
じゃぁ診察方法を確認しようと言って普段は省略する診察手順について、教科書的によくある視診→触診→可動域→筋力テスト→スペシャルテスト→神経所見の順で確認し、特にインピンジメント症候群についてのNeerとHawkins、ついでにEllmanについて確認し、上腕二頭筋長頭腱炎のYergason、Speedテストなどのスペシャルテストを確認(医学的な話なので詳細は省略しますが…)。他はEmpty-can Test、Drop Arm Test、Belly Press Test、Lift Off Test、 Hornblower Test、External-rotation lag testについては実演とyoutubeの動画で確認。
神経所見についてはついでに首も見るんだよ!という話とSpurlingテスト、Head Compressionテストを確認して、運動神経については肘を屈曲がC5、進展がC7、手関節の背屈がC6、底屈がC7、指を交差してC8、指を広げるのがTh1、感覚については母指がC6、中指C7、小指C8の知覚神経の分布の確認のあとに
私「でもね、掌全体が痺れるって言われたら何を考えるの?」
専攻医「えーっと、C6〜C8の頸椎の障害ですか?」
私「でも、大体掌しか痺れないっていうことが多いけど同時に障害されているの?」
専攻医「頸椎椎間板ヘルニアだと首全体を痛めちゃうとか?」
私「頸椎症だと首か肩に痛みがあると思うよ。C5、C6だと肩のあたり、C7、C8だと肩甲骨あたりの痛みが放散痛としてあるんだよ。肩や肩甲骨あたりの痛みがなければ頸髄症か末梢神経障害を考えると思うんだけど、頸髄症だったら確かに指先の痺れから生じることが多いみたいなんだけど、同時に複数箇所が起こるかなぁ。もっとよくある疾患が思いつかない?」
専攻医「あっ、手根管症候群ですね?」
私「そうそう、他はパソコンのマウスを使いすぎて掌全体が痺れるっていう単に血流が一時的に障害されて痺れたっていう人がいるからやっぱり、分布は大事なんだよね!特に患者さんが首が悪いかもと言って受診するときは自分たちは医者というプロなんだから患者さんの言葉に引っ張られてそうだと思い込まずに首からなのかそうじゃないのかはちゃんと評価しないとダメだよね」
専攻医「思い込まないように注意します」
という話をした翌日に手が痺れるんですという患者さんが来ました!
しかも、患者さん本人は首から来ているのではないか、ネットでみましたとやってきました。
実際の診察はこんな感じ(医学的な内容なので興味がある人用です)
私「手のひら全体ですね?ここ(親指)とここ(小指)は同じ感じで痺れてます?」
患者さん「そうです。全体です。」
私「(手根管を押さえて)ここは痛みます?」
患者さん「全然痛くないです。」
私「(手根管を叩いて)痺れが手のひらには広がりません?」
患者さん「広がりません」
と次に首についてSpurlingテストとHead Compressionテスト陰性で首の圧痛がないことを確認してから
私「手を机に置いて長時間作業することはないですか?昨日とか一昨日とか。パソコンのマウスを使ったりとか…。」
患者さん「えっ、パソコンのマウス操作を一日中しますよ!」
私「手首をついたまま操作する癖があります?」
患者さん「あります!それが原因ですか?」
私「言い切れないんですが、よくあるんですよ!そのためにクッションを手首のところに使う人も多いんですよ」
というデジャブかという患者さんが来られました。
他にも行動変容のレクチャーを行ったあとに、「禁煙外来を希望する患者さんがくるとわかりやすいんだけどね」という話をした同じ週に禁煙外来をしたいですという患者さんがきて専攻医の先生がフォローしています。
話すと現実になるんですねw!