医学生や医者ってモテモテなんじゃないの?っと思っている人のための記事No.2
ちょうど実習の1年前のある日…
研修医時代の先輩にあたる先生から突然メールが来ました。
”医学生10人程度の実習先を探していて、そのうち1人か2人くらい受け入れてくれないか”とのこと。
実習や見学などを断る理由もないし、ましてや先輩からの依頼ならもちろんですともーとその日のうちに返信。
それから新型コロナウイルスが流行し、他の大学の医学生の受け入れ予定もあったがそちらは実習中止のお知らせが来ました。
そして、実習開始2ヶ月ほど前までは特に連絡もなく過ぎていき…
実習希望者は最終的に9名の予定。
緊急事態宣言が解除されたので実習は行うことになったとのこと。
とても配慮されていたのが
実習前の2週間と実習中の健康状態を毎日確認し、
37.5度以上の熱やその他感染を疑う症状があれば医学生の派遣を中止する
とされていて、さらに
マスクは必ず着用、移動中と到着時は別のマスクに変える、
咳エチケットや手指消毒、ソーシャルディスタンスの確保を徹底する、
宿泊を伴う実習においては3名以上での飲食店での飲食禁止
など、とても細かく対応してくれていました。
その上でさらに医療機関の事情で受け入れしたくなければ辞退でも構いませんよという内容でした。
特に構いませんよーという返事をしたところ、もともと予定していた医療機関のほとんどが受け入れ拒否になって4名受け入れできないかとのこと。
医学生と1対1なら見学や採血などの手技を指導もできそうだけど、4名同時だと感染リスクも高いし、患者さんも怖がってしまうよなー。でも、学生実習先を探すのって大変みたいだからなー。うーん、うーん。
そこでいくつか検討してもらうことにしました。
コロナウイルス感染が増加していてリスクが高いのも事実ではありますので、以下が可能であればご考慮いただけると嬉しいです。
①外来や訪問診療の見学であればZoomやHang out、Skype、Facetimeなどを立ち上げた状態でオンライン見学にしてみる。これだと複数人が同時に見学していても可能ですし、感染リスクもございません。その際には回線トラブルや音声トラブルが予想されますが、集音マイクを使用したり、複数のオンラインアプリを事前に準備してうまく対応したいとおもいます。
②やはり実際にみてもらうほうが重要であれば(私も重要だとは思います)、1人ずつ見学に来ていただき、その他の学生さんをZoomなどでオンライン見学を併用する。見学の学生さんの集合時間は特に設けずに電車などが混雑していない時間帯できていただければ対応いたします。
③全員同時に見学希望であれば、見学期間中の移動をなるべく減らすため、近くのホテルに滞在してもらう。この条件でよければ滞在費はうちが支払います。
これに対して先輩からは初めての試みで教授会などで検討してみますとのことでした。
数日経って、オンライン見学でお願いしますと返事があり、他の有名病院の見学も断られてしまったので追加で3人、合計7人の受け入れができないかとのお話でした。
実習2週間前になって、さらに1人増えて8人の受け入れを4人ずつの2週に分けて行うことになりました。診察中は忙しくて質問に答えられないといけないので、診察時間の9時から18時までと診察前30分と診察後の30分くらいを余分にZoomの会議予約を取ってもらうことにして質問がなければ終了することとなりました。最終日だけ見学希望者はクリニックで実際に指導することになりました。
もともとクリニックの見学にくるとパワーポイントで作成したスライドによるレクチャーをしたり、あれ知ってる?これ知ってる?みたいなやりとりをするスタイルが多かったので、4人同時の場合はどんなレクチャーを準備しとこうかなぁと早速準備に取り掛かっていました。ちょっとワクワク!
そうしていたところ、早速2つの班に別れた1つの学生さん代表からの以下のメールがありました。
「実際の診療を肌で感じたいと思っておりましたが、コロナの影響によりそれができなくなって非常に残念に思います。
代替プランについてはお忙しい中お考え頂きありがとうございます。
Zoomでの診療見学は斬新で、このご時世に見合った実習であると思います。
実習時間は9時から18時の間でZoomによる実習ということでよろしいでしょうか?
それに関して班員でも話し合ったのですが、Zoomによる診療見学では、診察の細部まで見ることができない可能性(例えば身体所見などの客観的評価の観察不可など)があったり、問診のやり取りが聞き取りづらい、Zoomの接続が途切れたりなど色々不都合が生じる可能性があります。また総合試験も2週間後に控えており、試験前に果たして1日9時間×4日間のZoom内の実習で効率よく家庭医療について学べるかどうかは疑問に思います。
そのため初日はスケジュール通りZoomをやってみて、その日の実習次第で火曜日からの実習の再検討(例えば外来見学、訪問診療各々の2時間ずつの実習など)して頂ければと思っていますがいかがでしょうか。
もちろんZoomの実習がうまくいけばなにも問題ないのですが、、。
宜しければご検討頂ければと思います。」
!!!
要約すれば
大事なテスト前だから無駄な実習に時間なんて裂けねーよ!テスト勉強するための時間作ってくれよー!
ってこと??まじかー、ゆとり世代かー。そんなのしれっとZoom繋ぎながら勉強してればいーじゃん。つまんなかったらサボっちゃえばいーじゃん。
と思いつつ、先輩からの依頼だからなぁ…とグッと堪えて
「よほど試験で忙しいのでしょうか。
当院が今まで〇〇総合病院の後期研修医やスタッフの研修を受け入れたり、××ファミリークリニックの後期研修医の見学や他大学の医学生の研修を受け入れた時の患者さんの感想としては外来見学自体に抵抗がある人が少なからずおりました。診察自体プライベートな内容を扱うこともあるため、見学を受け入れてもらうために院内通信などで事前に患者さんに協力してもらえるようにお願いしてなんとか成立しています。皆さんも患者さんの立場になってよく知らない学生さんがジロジロみているのを快いと思うのでしょうか。複数の同時見学や顔の見えない外来見学はさらに患者さんの希望には沿っていません。同じ月に××クリニックの先生が見学希望していましたが、皆さんと日程が重ならないように2人お断りしています。
当初は1日に1人の受け入れで□□先生(先輩)にはお願いしておりましたが、色々な事情が重なり、このような実習になりました。医学生の皆さんもこのような実習が本意ではないかと思いますが、交代で見学したいのであればその方が望ましいと思います。午前中の外来9時から12時に1人、12時半から15時に1人、15時から18時に1人と分担しても良いのではないでしょうか。ぜひ同じ班の学生さんで相談して決めていただければと思います。
ただ、もともと実習をするべき時間について見学をせずに試験勉強の自習で終わらせて良いかどうかは□□先生やご担当の方とご相談ください。気持ちが進まずにやむを得ず見学しなければいけない状況だとしても、私の方は特に手抜きをするつもりはありませんし、参加していただいている時間は質問にも答え、なるべく参加した時間が無駄だと思われないように極力教育的配慮は行うつもりです。
音声についてや回線の問題は確かにあると考えたので、なるべく会話がクリアに聞こえるようにwebカンファ用の集音マイクを購入して準備したり、複数のパソコンで見学しやすいように配慮をしたつもりですが、気持ちに余裕がなければ実習はお互い得るものがないので無理してまで長時間参加する必要はないかもしれません。
午前中の外来が混む傾向にあり15から40人程度で途中に説明をする余裕はないことが多いです、在宅患者さんは4から6人です。午後は全部で5人程度の日もあれば20人くらいになる日もあり、参加するとしても雑談が主体となる可能性が高いので患者さんが落ち着いたところでなるべく18時より前に終了するようにします。それをうまくローテーションされたらいかがでしょう。コロナの影響で予想外に患者さんが少ない日もあるかもしれません。
初日に関しては接続できるかどうかの確認や見学するにあたっての簡単なレクチャーも準備しているので8時30分から9時までは全員参加でお願いします。それ以外の時間については私としては全員参加でも1人参加でも途中でさぼって誰も参加していなくてもZoom自体は立ち上げて見学に参加できる体制にはしておきます。
よろしくお願いします。」
とお返事しました。実習を依頼されているのにサボってもいいぞって言えるわけないじゃん。自己責任でサボってもいいよ的なことを暗に言ってみました。察してくれ!
私目線
学生時代の勉強なんてたかが知れてんのに、医者になってからの方が遥かに覚えることも経験しないといけないことも多いのに。ガリ勉めー…。医学部のテストなんて過去問集めて要領良く覚えてそこそこの点数とれば良くない?テストで良い成績取ったって取らなくたって卒業すればおんなじお医者さんなんだからさー。
まぁ、実習が退屈だったのはわかるよ。自分も医学生の時によく怒られなかったなぁという事件(興味があれば私の事件簿をご覧ください)があったからね。
退屈なのは指導側の責任だと思うからサボりたかったらサボればすむのに、許可がないとサボれないの??
まぁね、有名病院の見学を断られて小さなクリニックの見学なんて退屈だーと思う気持ちもわかるよ?
ごめんよー、有名じゃなくて。よくわかんないクリニックに行かされるのはドナドナみたいな気分だよねー。
でも、家庭教師と一緒だよ?実習中はなんでも質問できちゃうわけだし、聞けばいーじゃん。
あー、やる気なくすー。
とこのメールの返事が意外なところから返ってきました。
そこからさらに事件は大きくなり、実習を迎えるのです。
本日はここら辺で。
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私の事件簿
医学生は5年から6年になると病院実習が始まり(4年から始まるところもあります)、やっと座学から開放されて医者の業務を体験できます。楽しみにしていても、面倒見が良くない科に配属されるとただひたすら何も喋らずに見学したり、外科の手術は腕組みをして立ちっぱなしでいないといけなかったり、これは修行なのか?修行ですよね?という荒業をこなさないといけません。医学生同士で引き継ぎノートみたいなものが存在していて、○科の××先生は質問するとなんでも教えてくれる、△△先生は質問すると調べさせられるのでやめといたほうがいいなどなど情報が飛び交います。自分の大学はサボろうと思えばサボれてしまうので、班員全員でどこかに消えてしまうこともたまにありました。
教育熱心で有名な科を選択したはずのところ、担当の先生が忙しくてほとんど自習をしていてくれという実習でした。その途中で自分が高熱を出して実習を休んだら証明書を提出しなさいと言われたのに対して「証明書を提出するのにいくらかかると思ってんですか?自分は毎日家庭教師のバイトして授業料と生活費を出して学生をしているのに、そんな無駄なお金なんてないですよ!学生が信じられないならなんのために教授してるんですか??教える気もなく自習していろって言う実習なのに、無理して出席してるのに休む時にだけ証明書を出せっていうのが納得いきません!!他の科ではこれだけメモを取ったり、勉強したのに、この科にきてからメモることが何にもないんですよ!!!」と、今では考えられないゆとり発言を自分でもしていました。
いやー、忘れちゃうものですね。
猿の戦いは一番上を狙って戦うらしいですが、当時の自分はよく分からずに一番上は教授かなと思って直接文句を言いに行ってました。話のわかる教授で、「まぁ、落ち着きなさい。自習させられてるのは本当?熱があったのも本当?」と、話を聞いてくれて教授自らが採血の実験台になってくれたり、大体動脈の動脈採血も両方とも実験台になってくれました。いまだに元教授からお手紙をもらいます。こんなことが許されたのは昔の医学部だからかもしれませんねー。