family-doctor-shin’s blog

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前頭側頭型認知症とピック病?

今回は認知症で4番目に多いと言われる、前頭側頭葉型認知症についてのお話です。

 

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若年性認知症

 

40〜60歳の初老期に多く、平均発症年齢は60歳と言われます。

1892年にアーノルドピックが最初に現在から考えると前頭側頭型認知症と考えられる症状を発表し、アロイス・アルツハイマーが後に『ピック病』と名付けました。このピック病はピック体と呼ばれる封入体と呼ばれる異常な蛋白が蓄積した塊があるのが特徴でした。その後にさらに分かったのはピック病と診断されていた患者さんに必ずしもピック体が見つからないことも多く、ピック病ではなく進行する失語症の症状前頭葉や側頭葉を障害された時に生じる症状を合わせてもつ認知症を全体として『前頭側頭型認知症と名付けました。ピック病は病理学的診断(脳を解剖した時にやっとわかる診断)で、前頭側頭型認知症は臨床症候群(症状から診断する場合)と区別されています。

 

 

前頭側頭型認知症は、脳の神経細胞グリア細胞と呼ばれる細胞に異常なタンパク質が蓄積(医学的には凝集といいます)して、封入体と呼ばれる小さい塊を作り、それが蓄積して発症します(必ずしも前述のピック体とは限りません)。大脳の前頭葉や側頭葉を中心に病気が進行するので、感情や社会性、運動などを司る前頭葉の障害による人格変化や行動障害、運動障害、言語や認知機能を司る側頭葉の障害による失語症や認知機能障害の症状が出現します。

 

封入体の主要構成成分としてタウ蛋白、TDP-43蛋白、FUS蛋白という異常蛋白が蓄積しているのが見つかっています。

 

前頭側頭型認知症はさらに行動障害型前頭側頭型認知症、意味性認知症、進行性非流暢性失語症の3つに分類されてそれぞれ特徴がありますが、

主な症状としては人格が変化することと言葉の障害2大症状です。

 

人格変化としては社会的に不適切な行動を起こしたり、礼儀やマナーのような社会生活のルールを守ることができなくなったり、恥ずかしいという感情などがなくなってしまったり、相手を思いやるという感情がなくなってしまったりします。

反社会的行動や我が道を行く行動が目立ち、犯罪を起こしてもなんとも思わなくなるため、暴力をふるうこともあります。

食欲を抑えることができなくなり、過食となって濃厚な味付けや甘いものを過剰に食べるようにもなります。

常同行動・反復言語と呼ばれる同じ行動を繰り返したり、同じ場所を行ったり来たりしたり、同じ言葉を何回も繰り返したり、同じ食事しか取らなくなったりなどが見られますが、本人は全く変だと思っていません。

 

言葉の障害としては物の名称の理解が障害されて、物の名前を言えなくなります。例えば、テレビをみて『テレビ』という名称が分からなくなり、『『人が写っている』とか『箱みたい』ということは言えます。このような物とそれを表す単語を一致させることを喚語と言いますが、喚語障害がみられるのも特徴です。病気が進むと『テレビ』という喚語障害だけではなく、その次の『人』や『箱』という名称の喚語障害も進むので言葉自体を言えなくなる失語も出現します。

だんだんと言葉を発する頻度も少なくなるので、ものを飲み込む機能(医学的には嚥下機能と言います)も低下し、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

筋肉の萎縮や筋力低下も見られることがあり、姿勢を保つことができなくなって転んで骨折をすることもあります。

 

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前頭側頭型認知症の自然経過

平成27年から国の難病として指定されることになり、公的支援を受けられるようになっています。

 

医者の立場では、家族や介護者に

  • 公の場で他人を困らせるようなことはありますか?
  • 嫌悪感がないように見えますか?
  • 家族、特に孫やペットに対して無関心や愛情がないように見えますか?
  • 食べ物の好みが変わったり、テーブルマナーが悪くなったりしましたか?
  • 時間を気にするようになりましたか?
  • ユーモアセンスがなくなりましたか?
  • 特定の趣味や興味にものすごくのめり込みますか?特に宗教やスピリチュアルなどにのめり込んでいますか?

という質問をして該当する項目が多ければ前頭側頭型認知症を考えて次の検査をするかどうかを考えています。

 

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