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意外と知られていない、レビー小体型認知症のお話し

今日は認知症の中で3番目に多いと言われるレビー小体型認知症についてのお話です。

 

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認知症

かつてはまれで5%くらいと考えられていましたが、現在では一般的な原因として認識されていて、実は認知症患者さんの30%くらいをしめていると言われます1)2)。なぜ少ないと思われていたかというと、レビー小体を確認するにはご遺体を解剖しなければいけないからそこまでされることが少なかったからでもあります。

 

レビー小体とは神経細胞にできる特殊なタンパクで、1913年にフレデリック・レビーという人が初めて報告し、後にパーキンソン病レビー小体型認知症に特徴的な所見だとわかります。

 

そして、レビー小体型認知症日本の横浜市立大学の名誉教授である小阪憲司先生が1976年に世界で初めて報告3)し、当初は病理学者(細胞をみる先生)がそんなタンパクは見えない(レビー小体はパーキンソン病特有で黒質という部分にのみあると考えられていたため)と言われ、見えているのに見えないと言われた、とのちに語っています。

どの世界でも、今まで知られていないことを新たに発表する場合にはなかなか理解してもらえないことが多いのかもしれません。

 

さて、認知症を伴うパーキンソン病レビー小体型認知症はどちらも認知症の症状があり、レビー小体型認知症でもパーキンソン病と同じような症状が出現することがあります。当初は別の疾患だと考えられていましたが、1つの病気が移り変わっている途中の変化にすぎない(医学的には疾患スペクトラムと言います)ので同じ病気の範疇と考えて、レビー小体病と呼ばれるようになっています。略語だとレビー小体型認知症がDLB:Dementia with Lewy Bodies)なのに対して、レビー小体病は(LBD:Lewy body disease)と記載しますが、混乱しやすいのでこのまま日本語表記で続けます。

 

レビー小体型認知症の話に戻しますが、記憶以外の認知機能障害が特徴的で、まざまざとした幻視(と呼ばれ、本人は実物を見ていると信じているので幻覚だと言われないと気がついていません)を見ることがあります。

 

特にレム睡眠行動障害と呼ばれる、寝ている間に体が動いてしまったり、大声を出してしまう病気がありますが、この病気がレビー小体型認知症の特徴だとわかり、それまではその可能性がある症状(医学的には示唆的診断的特徴と呼ばれ、DSM−5というアメリカの学会が出している診断基準で示唆的と考えられていた)だったのが、2017年に出された臨床診断基準では中核症状(診断の中心となる症状)に格上げになっています4)。他は嗅覚障害や起立性低血圧などの自律神経症状、MIBG心筋シンチで取り込み低下があるなど。

 

 

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レビー小体型認知症の自然経過

 

治療に関しては日本ではドネペジル(アリセプト®)のみ保険適用がありますが、わずかに改善効果が認められる程度で治療が難しく、抗精神病薬などのお薬が過度に効いてしまうという特徴があるので睡眠薬などのお薬を使う場合には注意が必要です。

突然死の報告もあります。

 

その他パーキンソン病の治療と重なるところが多い病気で、パーキンソン病に特徴的な起立性低血圧(血圧が急激に下がってしまう、時には意識がなくなることもある)や頑固な便秘(神経の病気なのでほぼ必発)などの特徴もあります。

 

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1)Hogan, David B., et al. "The prevalence and incidence of dementia with Lewy bodies: a systematic review." Canadian Journal of Neurological Sciences 43.S1 (2016): S83-S95.

2)Jones, SA Vann, and J. T. O'brien. "The prevalence and incidence of dementia with Lewy bodies: a systematic review of population and clinical studies." Psychological medicine 44.4 (2014): 673.

3)Kosaka, Kenji, et al. "Presenile dementia with Alzheimer-, Pick-and Lewy-body changes." Acta neuropathologica 36.3 (1976): 221-233.

4)1) McKeith, Ian G., et al. "Diagnosis and management of dementia with Lewy bodies: Fourth consensus report of the DLB Consortium." Neurology 89.1 (2017): 88-100.

 

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