family-doctor-shin’s blog

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医学生や医者ってモテモテなんじゃないの?っと思っている人のための記事〜2グループ目No.1

前回までのあらすじ。

実習後に大事なテストを控えている医学生から実習中にテスト勉強をする時間を作ってくれよー、実習長すぎるよーというメールがきて、そんなん教授に話したら?と返事をしたら留年するかもしれないイエローカードをもらってショボーンとした医学生を対象とした実習の2グループ目。

 

詳しくはこちら⬇︎ 

ohunafamily.com

 

さて、医学生実習は2グループ目に突入しました。

 

脳梗塞脳出血合併後の症候性てんかんがあり、睡眠時無呼吸症候群も合併していた患者さんがゼーゼーすると受診しました。

 

脳梗塞脳出血が同時におこることは稀ではありません。そのあとに痙攣を起こす場合に症候性てんかんと呼びます。脳が障害されることで睡眠時無呼吸症候群を合併することもあり、CPAPという機械を使って治療を行なっている方でした。

 

ここまで疾患を分解して把握するのが医学生時代だと大変です。

 

私「ゼーゼーって言ってるけどどんな病気が浮かぶ?」

学生「喘息ですか?」

私「喘息のゼーゼーっていつ聞こえるの?それはなんていうの?」

学生「うーん、ずっと聞こえてます??ゼーゼーは…わかりません」

ゼーゼーについて

気管支喘息の場合、ゼーゼーが聞こえるとすると呼吸を吐く時です。特に呼吸を吐く時の最後が出やすいので、大きく深呼吸をしてできる限り息を吐き出してもらうことを繰り返して音がしないかを確認(これを強制呼気と言います)しています。ゼーゼーいうことを医学用語で喘鳴(ぜんめい)と呼びますが、呼気性喘鳴(こきせいぜんめい、英語でWheezeとも言います)が聞こえますと言われると気管支喘息を考えているんだなと医者同士だと考えます。

逆に息を吸う時に聞こえるゼーゼーはなんというのでしょうか?(最後に答えを書いておきますw。)

 

さらにお話を聞いてみると夜間から明け方にかけてひどくなるという話から呼気性喘鳴なのだろうと予想をして聴診器を使って胸の音を聞きます

聴診器で胸の音を聞く時って最初に目的を決めてから聞くことが多くて、なんとなく聞いていても聞き逃してしまうことが多いんです。

 

今回は明らかな呼気性喘鳴を聞くことができました。この場合でも気管支喘息とは言い切れずに他の病気を除外しないといけない病気があるんですが、横道にそれすぎてしまうため、省略します。

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喘息を考えた時に除外しないといけない病気

最終的に気管支喘息を考えて吸入ステロイドを処方しました(実は以前に喘息で治療歴がありました)。

 

 

 

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さて質問の時間です!

私「さて、この患者さんはタバコも結構吸っている患者さんでしたが、タバコが原因の病気でCOPDという病気は聞いたことがない?」(教育的配慮からの質問)

学生「肺の病気で、確か吸入ステロイドも使ったような…あんまり違いがわかりません。」

私「そっちの病気だった可能性はない??」

学生「どうなんでしょうねー。」

注)治療が似て言えるように見えるので学生さんにはよく混同されてしまいます。

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気管支喘息COPDの定義

 

私「喘息とCOPDだとどっちが死んじゃう病気だと思う?

学生「喘息で死ぬって聞いたことありますよ!COPDはいまいちよくわかりません。」

注)意外とCOPDが男性の死亡原因8位だということを知らない人が多いです。喘息は今は滅多に死んじゃう病気ではないです!

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喘息とCOPDの患者数、COPDは男性の死因8位

 

私「どうやって診断するんだろうね。」

学生「スパイロメトリーを使うって聞いた気がします。でも、見たことないです。」

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パイロメトリーって?

 

私「日本のガイドラインが細かく子供や大人などを分けて場合分けをして痒いところに手が届くように書いてあるけど、複雑ですぐに理解するのは大変なんだよね。しかも有料。でも、無料で毎年改定していて、誰でもみることができるガイドラインとして喘息についてはGINA、COPDにはGOLDというガイドラインがあってそれを参考にしたらどうかな?日本のガイドラインもだいたい似たような内容だから」

注)日本のガイドラインは有料なことが多いのと複雑な体裁になっていることが多いです。海外のガイドラインは無料が原則です。日本のガイドラインでは特に循環器学会は無料でとても細かくわかりやすく記載されていて、頑張って読めば割と医学的知識がなくても読めるのではと思います。

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診断について

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COPDの診断

私「治療はどうなるのかな?」

学生「重症度に分けて行うと思うんですけど…」

私「内容は医者になってから覚えれば良いけど、重症度で治療内容が変わるという部分は重要だよね。」

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COPDの重症度分類

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COPDの予後

 

 

と、教育的な質問は学生さんにとって大変です。

だいたい、どのくらいの患者さんがいるの(疫学)?その病気の定義・診断は?、重症度の分類は?治療は?病気が進むとどうなるの(予後)?他に一緒になってしまう病気は(合併症)?という内容を覚えさせられます。

 

 

教育的配慮から気管支喘息COPDを同時に勉強してもらいました。

今回の実習も当初の目的は症例から問題を考えていくという省察的臨床家とは何かを体験・理解してもらうことを目的とした実習でしたが、さらに進んで

 

続く…

 

 

 

息を吸う時に聞こえるゼーゼーはなんというのでしょうか?

答え:吸気性喘鳴(Stridor)と呼び、息をうまく吸えない状態を意味していてこれはやばいぞという状況です。気管などの太い部分が狭くなった場合や気管が潰れてしまう場合を意味します。

お子さんだとクループ症候群やRSウイルス感染の重症例などやっぱりやばいぞという状況です。大人だと喉頭蓋炎や稀な成人クループや気管気管支軟化症などを考えてやっぱりすぐに対応しないとやばいぞという状況です。